2017年1月27日金曜日

2016年選手通信簿〜投手編②〜

選手通信簿の第二弾です。今回は主に中継ぎとして登板した投手です。

 #17 ウェード・デービス〜Wade Davis〜 A

 45試合 43.1回 2勝1敗27S 0H 3BS 防1.87 WHIP1.13 被打率.210 47K/16BB


ロイヤルズが世界に誇る絶対的守護神も今年は2度のDL入りなど、少し精彩を欠くシーズンとなった。故障の影響か、月を重ねることにスピンレート(回転数)が落ち、成績が悪化していった。それでも成績は文句のつけ用のない素晴らしいものであった。オフにホルヘ・ソレアとのトレードでカブスへ移籍。

 #40 ケルビン・へレーラ〜Kelvin Herrera〜 A

 72試合 72回 2勝6敗12S 26H 3BS 防2.75 WHIP0.96 被打率.213 86K/12BB

今年は故障で何度かDL入りしたデービスに代わりクローザーを任せられることも多かったシーズンであり、セットアッパーとクローザーを行ったり来たりした。それでも安定した成績を残し、最強ブルペンの一角を担った。しかし、今年は6敗と黒星が多かったのが玉に瑕。だが、接戦での登板機会が非常に多かったため仕方ないものなのかもしれない。

 #48 ホアキム・ソリア〜Joakim Soria〜〈新加入〉 B

 70試合 66.2回 5勝8敗1S 20H 7BS 防4.05 WHIP1.46 被打率.265 68K/27BB

4年ぶりに古巣に復帰した今季は開幕から7回を任せられたもののイマイチピリッとしないシーズンとなってしまった。被打率が高く、ピンチで簡単に点をあげてしまうため数字以上に印象は悪く、ブローンセーブ数はチームダントツの7。オフの契約時に払いすぎと言われた評価を覆すことができなかった。

 #47 ピーター・モイラン〜Peter Moylan〜〈新加入〉 B

 50試合 44.2回 2勝0敗0S 7H 0BS 防3.43 WHIP1.30 被打率.243 34K/16BB

今季は招待選手としてマイナー契約し、開幕ロースター入りこと逃したものの5月に40人枠入りし、その後は大量リード時、敗戦時、接戦時、ワンポイントとフル回転しブルペンを支えた。全盛期ほどの成績とはいかなかったものの、アンダー気味のサイドスローから繰り出される得意のシンカーでゴロの山を築いた。

 #44 ルーク・ホッチェバー〜Luke Hochevar〜 B

 40試合 37.1回 2勝3敗0S 14H 4BS 防3.86 WHIP1.07 被打率.223 40K/9BB

トミージョン手術から復活し、ワールドチャンピオンに貢献した昨季に続き活躍が期待されたシーズンであったが、シーズン序盤こそ調子は良かったものの、7月に入ると急激に成績が悪化し、末にはDL入り。そのままシーズン絶望となってしまった。

 #67 王建民〜Chien-Ming Wang〜〈新加入〉 B

 38試合 53.1回 6勝0敗0S 0H 0BS 防4.22 WHIP1.46 被打率.284 30K/18BB

復活を目指しスプリングトレーニングに招待選手として参加すると、80mph半ばまで落ちていたファストボール(シンカー)の球速が92,3mphまで戻り、見事開幕ロースター入を果たした。基本的にはロングリリーフであったが、フル回転した。8月末に怪我し、その後はマウンドに立つことはなかった。

#33 ブライアン・フリン〜Brian Flynn〜 A

 36試合 55.1回 1勝2敗0S 2H 0BS 防2.60 WHIP1.10 被打率.193 44K/23BB

背中の大怪我から復帰し、初のフルシーズンとなった今季は最強ブルペンの一角として大活躍。左のワンポイントからロングリリーフ、時にはローテの谷間埋めまでフル回転し、リリーフの連続無失点イニング記録達成にも大きく貢献した。

 #64 マット・ストラーム〜Matt Strahm〜〈ルーキー〉 S

 21試合 22.0回 2勝2敗0S 6H 0BS 防1.23 WHIP1.09 被打率.171 30K/11BB

ドラフト21巡目指名から這い上がり、彗星のごとく現れたスーパールーキー。昨季からマイナーでは先発に挑戦し今季も主に先発を努めていたが、コールアップ後は全てリリーフ登板。ルーキーとは思えない度胸満点のピッチングを披露し、何度もチームのピンチを救った。ファストボールの空振り率は両リーグ10位となる30.8%を記録し、一気に最強リリーフ陣の一角へと躍り出た。

 #54 スコット・アレクサンダー〜Scott Alexander〜 C

 17試合 19.0回 0勝0敗0S 0H 1BS 防3.32 WHIP1.63 被打率.312 16K/7BB

昨年は超打高のパシフィックコーストリーグでセンセーショナルな活躍を見せメジャーデビューを果たしたが、今季はマイナーでもそこまで目立った活躍は見せられなかった。メジャーでは左打者に.350以上も打たれてしまい、左のワンポイントとしての期待に答えられなかったが、オールスター以降は無失点と来季以降に期待できる締めくくりとなった。

#62 ブルックス・パウンダース〜Brooks Pounders〜〈ルーキー〉 D

 13試合 12.2回 2勝1敗0S 1H 0BS 防9.24 WHIP1.74 被打率.345 13K/3BB

昨年マイナーでブレークし、今季初昇格を果たした右腕。三振を取る力があり、今季はマイナーでもメジャーでも投球回を奪三振数が上回った。しかし超がつくほどのフライボーラーであり、メジャーでは12回強で6本ものホームランを浴びてしまった。オフにトレードでエンゼルスへ移籍。

#61 ケビン・マッカーシー〜Kevin McCarthy〜〈ルーキー〉 D

 10試合 8.1回 1勝0敗0S 0H 1BS 防6.48 WHIP1.92 被打率.306 7K/5BB

おそらく一番のサプライズ昇格となった右腕。いままでマイナーでもあまり目立つことはなかったものの、プロ入りからリリーフ専門で安定した成績を残し続けており、9月のロースターエクスパンションと共にメジャー昇格を果たした。メジャーでは打ち込まれることが多かったものの、8回強で7奪三振とポテンシャルの高さを見せつけた。

 #63 アレック・ミルズ〜Alec Mills〜〈ルーキー〉 D

 3試合 3.1回 0勝0敗0S 0H 0BS 防13.50 WHIP2.40 被打率.231 4K/5BB

コントロールの良さが武器のプロスペクトもメジャーでは3.1回で6四死球と全く武器を活かせなかった。しかしマイナーでは今季も125回で122奪三振を記録するなど、デビューから安定した投球を続けている。

2017年1月24日火曜日

2016年選手通信簿~投手編①~

 勝率5割の地区3位という結果となってしまい、3年ぶりにポストシーズンを経験せずにシーズンが終わった2016年シーズン。今回は毎オフ恒例となっている某MLB雑誌月刊ス〇ッガーさんの通信簿のように選手を採点をしてみようと思います。
 とはいったものの、採点はS→A→B→C→Dの順の評価をつけているので、「良くできました!」などの評価をつけられる某雑誌さんとは少し違っています。

 2016年通信簿第1回は投手編前半です。投手前半の今回は今季主に先発を務めた選手たちを中心に振り返ります。

 #背番号 名前(カタカナ)~名前(英語)~ 評価
 登板数(先発数) 投球回 勝敗 防御率 三振 与四球 WHIP 被打率


 #36 エディンソン・ボルケス~Edinson Volquez~ D

  34(34)試合 189.1回 10勝11敗 防5.37 139奪三振 76与四球 WHIP1.55 被打率.282


 開幕投手を務めた今季、3登板目までは素晴らしい投球を見せたもののその後は悲惨な結果に。6月24日のアストロズ戦では1.0回(2回途中降板)で12失点という歴代ワーストの記録まで作ってしまった。怪我人続出のチームの中一度も離脱せずにシーズン通してローテを守りリーグ2位の先発数を記録したが、自責点とWHIPはリーグワーストなど評価出来る成績ではない。来季は$10Mの相互オプションがあるが、行使されないことが確実視されている。

 #31 イアン・ケネディ~Ian Kennedy~ 〈新加入〉 A

  33(33)試合 195.2回 11勝11敗 防3.68 184奪三振 66与四球 WHIP1.22 被打率.234


 開幕前に結んだ5年総額$70Mの大型契約には批判的な声も多かったが、移籍1年目の今季はローテを守りチームのエースとして活躍した。被打率はりーグ9位で奪三振はリーグ10位記録し、シーズンを通して安定した投球を見せてくれた。一方で同ワースト3位の33本の本塁打を浴びたが、これは典型的なフライボーラーである彼の投球スタイルとして仕方のないことであろう。ちなみに今季の47.3%というFB%の数字は彼のキャリアの中で一番高い数字だった。

 #41 ダニー・ダフィー~Danny Duffy~ S



  42(26)試合 179.2回 12勝3敗 防3.51 188奪三振 42与四球 WHIP1.14 被打率.239


 今季はブレークした14年と同じように開幕ローテーション争いに敗れ中継ぎでの開幕となったが、故障者続出により5月から先発へ。昨季はフォームが定まらず不本意な結果に終わったが、今季は自身初の規定投球回に達し奪三振数はリーグ9位、K/9は同5位、K/BBは同6位にランクインするなど大躍進の年となった。左打者への強さも健在で、被打率.182と抑え込んだ。また、8月1日のレイズ戦ではザック・グレインキー(現ダイヤモンドバックス)の持つ記録を上回り、歴代チーム最多となる1試合16奪三振を記録しチーム史に名を刻んだ。

 #30 ヨルダノ・ベンチュラ~Yordano Ventura~ B

  32(32)試合 186.0回 11勝12敗 防4.45 144奪三振 78与四球 WHIP1.44 被打率.260


 エースとして期待された今季だったが、またしても期待に沿った活躍はできなかった。彼の一番のツールであるファストボールは年々ツーシームの割合を増やしており、今季は初めてその割合がフォーシームを超えた。しかしその最速99.8mphのツーシームは被打率.336、100mphに達するフォーシームも被打率が.295とただ速いだけで全く武器になっていない。6月9日のオリオールズ戦ではマニー・マチャドと殴り合いの大乱闘を繰り広げ9試合の出場停止を食らうなど2度の出場停止を受けた昨季から素行面でも成長はなく、素行不良が理由でポストシーズン争いをしているチームのローテ投手がメインパッケージとしてトレードで放出されるかもという前代未聞の噂まであがった。

〜追記〜
1/22に母国ドミニカ共和国で交通事故により25歳の若さで亡くなりました。これからのロイヤルズを支える投手だっただけに悔やんでもくやみきれません。この気持ちをなんと表現したらいいのか…ご冥福をお祈りします。

 #53 ディロン・ジー~Dillon Gee~ 〈新加入〉 C

  33(14)試合 125.0回 8勝9敗 防4.68 89奪三振 37与四球 WHIP1.46 被打率.287


 2013年にはメッツで開幕投手を務めた右腕も怪我の影響もありオプトアウト付きのマイナー契約で招待選手として契約したが、コリンズの全休の影響もあり開幕ローテ入り。開幕当初は中継ぎだったが、途中からは故障者続出のローテの谷間をしっかりと埋め、スウィングマンとして活躍した。

 #32 クリス・ヤング~Chris Young~ D

  34(13)試合 88.2回 3勝9敗 防6.19 94奪三振 43与四球 WHIP1.66 被打率.287


 昨年はワールドチャンピオンに貢献し、オプションも含めると3年$19.5Mの高待遇で再契約。しかし、今季は全く期待に沿った活躍をすることができなかった。月間防御率は8月(2.84)を除くと軒並み5.5を超えており、更に、元々超フライボーラーといえHR/9は2.84と80回以上投げた投手の中ではダントツで悪かった。来季以降も残る契約の中、せめてものの救いはK/9が9を超える高水準を叩き出したことか。

 #31 クリス・メドレン~Kris Medlen~ D

  6(6)試合 24.1回 1勝3敗 防7.77 18奪三振 20与四球 WHIP2.05 被打率.303


 今季は開幕ローテ入りし、最初の2試合は好投したものの、その後は右肩の故障の影響で本来の投球が出来ず、5月10日の6登板目でシーズンを終えてしまった。マイナーではリハビリ登板をはじめたものの、11試合26.2回で防御率7.76と本来の球は戻らなかった。

 #51 ジェイソン・バルガス~Jason Vargas~ C

  3(3)試合 12.0回 0勝0敗 防2.25 11奪三振 3与四球 WHIP0.92 被打率.182


 昨年受けたトミージョン手術の影響で8月まで登板なし。しかしマイナーでの実践復帰後は出術後と思わせない快投を見せ予定より少し早くメジャーの舞台に戻ってきた。メジャー復帰後も少ないイニング数ではあるが素晴らしい成績を残し、来季の完全復活へ大きな期待を持たせてくれた。